【18:35追記・訂正しました。】
本日29日朝、立山連峰室堂・一の越山荘間で雪崩が発生し、東京工業大学の学生3人が巻き込まれました。
このニュースが報じられると同時にどのように伝え、何ができるかを考えました。
国内では雪崩の情報十分とは言えない環境で、情報ネットワークが未発達というのが現状です。
この十数年間を通して日本雪崩ネットワークが立ち上がるなどの動きを見せていますが、未だ各々の登山者の経験や山岳会などのグループが頼りです。
私たちも雪山初心者への雪崩知識の啓発の一役を担いたいと思い、このようにしてできる限りの情報をお伝えしていこうと思います。
事故続報
東京工業大学ワンダーフォーゲル部の6名の学生グループで登山中に発生した雪崩によって3人が巻き込まれ、一名が意識不明の重体、一名が低体温症とのことです。
その後、意識不明だった学生が亡くなられました。
また低体温症の学生は命に別条は無いとのことです。
※名前は伏せさせていただきます。
観光客でも巻き込まれる可能性のある雪崩
立山は山岳観光の名所としても知られ、立山黒部アルペンルートの愛称で親しまれています。
富山県側は立山駅から、長野県側扇沢駅からアクセスすることができます。
厳冬期を迎える11月までは観光客の方も入山することができ、ホテル立山や弥陀ヶ原ホテルなどが営業をしているため、多くの入山者が訪れています。
実際、春・夏・秋・冬を通して立山連峰は四季折々の顔を出し、素晴らしい景色で入山者、観光客を楽しませてくれます。
色彩豊かで、鳥をはじめとする多くの生物が私たちを出迎えてくれます。
しかし時に厳しい顔を見せる自然の山々は、この地立山黒部アルペンルートでも同様です。
室堂駅から一の越山荘の間は観光客が散歩しやすい場所としても知られ、冬季は簡単には出向くことはできませんが、夏と同じ感覚で散歩してしまう入山者、観光客も少なからずいるようです。
雪崩事故を報じる必要性
雪崩は星の数ほど発生しており、登山者が巻き込まれる例も数多く起きています。
その一つ一つを報じる必要性は無いかもしれません。
私たちはなぜ事故が起きてしまったのかなどを知っていただきたいのです。
それはいつ誰がどこで巻き込まれるかわからない雪崩だからこそ、その可能性とリスクを認知し、対策を耳にタコができるくらい、また目で情報を読み、事件詳細の検討がつく程度まで身に染みつけていただきたいのです。
残念ながら雪崩で怖い思いをするまでは、雪崩の危険を知る必要性は感じないかもしれません。
もちろん知らなくて良いという情報ではありません。
知っててよかったというその時、雪崩事故が無くなるその日まで私たちは勉強し続けていかなければいけません。
雪崩が起きたその時
今回起きた雪崩の話に戻ります。
ワンダーフォーゲル部に所属する6名は1~3年の男性で、この日は立山三山の一つ雄山への登頂を目指して雪上訓練(雪訓)をしている最中いたようです。
この時、現地室堂の天気は雪で見通しも良くない状況での雪訓。
日中でも氷点下を下回っていました。
室堂周辺の積雪は積雪量は70cm。早朝の時点で気温は−11℃、8時の時点での気温はマイナス9度、風速は3~4メートル。27−28日に約30センチの雪が降っていたようです。
今月24日の放射により弱層が出来ていたことが伝えられています。
事前の予測もある程度できた中での今回の雪崩事故となります。
私たちができること
事故が起きてからでは遅いというのは百も承知ですが、次の雪崩事故が起きないように啓発活動に取り組んでいくほかないというのが「初心者のための雪山登山入門」としての考えになります。
この記事を読んでいただいているあなたができることは、
雪崩について知り、
多くの方に同様の情報を知らせ、
より学び、
基本的なことから経験を積んでいただきたい。
そのように願っています。
あなたも私たちと一緒に学んでみませんか。
初心者のための雪山登山入門